箱根の営業担当が男性から女性に変わりました。
新しい担当からの久しぶりの「エクシブ」通信。
題名もやや変わりまして
「箱根」の魅力を語るエクシブ通信
今回は『出発進行〜!25年ぶりの新型車両』のお話
今から95年前。大正8年(1919年)に開業した、箱根湯本駅から強羅駅までを約40分間で結ぶ全長8.9km、標高差445mの箱根登山鉄道。
この箱根登山鉄道には、「日本有数の古い鉄橋」「日本有数の急カーブ」「3箇所にも及ぶスイッチバック」など、いくつもの名物があります!
特筆すべきは「日本一の急勾配」。レールと車輪の摩擦抵抗だけで山を登る「粘着方式」の鉄道としては国内最高、世界でも2番目の急勾配となります。
鉄道の勾配は千分率「パーミル(‰)」で表示されます。これは水平距離1000mに対し何m登るかを表す数字です。80パーミルは「1000m進む間に80m登っている」という意味です。
言い換えれば12.5m進むごとに1m登ることになり、3両編成の箱根登山鉄道の電車が80パーミルの坂に差しかかると、先頭の運転席と最後尾の車掌室の高低差は3.6mにもなります。
この箱根登山鉄道に11/1から新たな名物が加わりました!その名物とは、1989年(平成元年)に導入された『2000形“サン・モリッツ号”』から数えること25年ぶりに誕生した新型車両『3000形“アレグラ”』。
“アレグラ”とは、箱根登山鉄道の姉妹提携鉄道であるレーティッシュ鉄道が走るスイスのグラウビュンテン州に今も息づく希少言語、レート・ロマンシュ語の挨拶言葉です。
『アレグラ号』のデザインを担当したのは、関西国際空港旅客ターミナルビルや小田急ロマンスカーの『VSE』や『MSE』といった人気車種のデザインを手がけた岡部憲明氏です。岡部氏は、車輌の存在を忘れるまで緑の木々の中を巡る感覚を持てるように、前面、後面の運転室と客席間の仕切りには大きな透明性を持たせ、低く抑えた運転台により可能な限り大きなフロントガラスを取り付けました。
またあえて頭上部の荷物置きの網棚は設置せず、座席下に荷物を置けるスペースを確保し、より箱根の景色を楽しんでいただこうと従来の車輌と比較して約30%もガラス面積を広くしています。
そして座席以外にも、隠れた特等席と言われているのが、入口ドアの開口部分です。
このドア部分は、床から天井近くまで187cmもの大きな展望窓となっており、80パーミルの急勾配、3ヶ所のスイッチバック、88ヶ所のカーブ、13ヶ所のトンネルとおよそ26ヶ所の鉄橋を渡るあいだに、箱根の山や渓谷の新緑、紫陽花や紅葉、雪景色など箱根の自然をたっぷり楽しめるレイアウトになっています。
箱根登山鉄道のモデルとなった旧ベルニナ鉄道を受け継ぐスイスのレーティッシュ鉄道とは、今年姉妹鉄道提携35周年を迎えました。2008年には、レーティッシュ鉄道のアルブラ線とベルニナ線が世界文化遺産に認定されています。いずれ、日本随一の山岳鉄道も世界遺産となる日が来るかもしれません!
箱根の自然を新型車両『アレグラ号』から存分に眺めてみてはいかがでしょうか。